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【デジマのあれこれ Vol.1】入札単価を決める、4つの自動入札戦略

はじめまして、企業向けにデジタルマーケティングの支援を行う、株式会社プレシジョンマーケティングです。普段は、

  • デジタル広告の制作・運用・分析

  • SNSアカウントのグロース

  • マーケティングオートメーションの導入支援

  • マス広告や実売データも含めたマーケティング全体のコンサルティング

  • 顧客インハウスチームの組成・改善支援

など、デジタルマーケティング関連の業務を多岐に渡ってお手伝いしています。

専門用語が多く、新しい技術やツールが次々と登場するデジマの世界。分からないことや、お困りごとを抱える方も多いのではないかと思います。このnoteでは、そんな方のために最新技術を分かりやすく紹介し、デジタルマーケティングの力を最大限活用していただくことを目指します。


Vol.1のテーマは「自動入札戦略」

デジタル広告を出稿したことのある方は、必ず一度は「自動入札」という言葉を目にしたことがあるでしょう。ディスプレイ広告にしろ、リスティング広告にしろ、SNS広告にしろ、デジタル広告のほとんどは自動入札によって単価が決まります。

「自動」の言葉どおり、機械によって自動的に価格が調整されます。人間が1つ1つ価格を判断するよりも素早く、かつ公平に、最適な単価を決定できるこの仕組みなくして、デジタル広告はここまで発達しなかったと言ってもいいでしょう。

しかしこの自動入札、入札単価がどのように決められているのかまでご存知の方はきっとそう多くないでしょう。そこで今回は、自動入札戦略のうち、代表的な設定4つを取り上げ、単価が決まる仕組みを解説します。詳細なアルゴリズムは公開されていないため、一部推測を含みますが、過去のさまざまなキャンペーンを運用してきた実感値から、概ね正しいのではと考えています。


自動入札タイプ①:目標コンバージョン単価(tCPA)

<推測される単価計算式>    
入札単価 = 目標CPA×機械予測CVR

式のなかの「機械予測CVR」は、正式用語ではなく、各プラットフォーマーのヘルプページなどにも登場しません。ただ、設定した目標CPAと実際にオークションに用いられた入札単価の関係を分析すると、このような変数が存在することはまず間違いありません。

終了したオークションには、CPC(クリック単価)=CPA(顧客獲得単価)×CVR(コンバージョン率)という式が成り立ちます。目標CPAは広告運用者が設定するため固定の数値ですが、CVRは広告を出してみるまで分かりません。そこで、機械が予測したCVRを当てはめることで、クリック単価を決定するというイメージです。

つまり、自動入札において機械学習のアルゴリズムで算出するのはこの機械予測CVRだけということになります。言い換えると、目標CPAを変更しても、機械学習には直接影響しないと考えられるのです。目標CPAの変更が機械学習に影響を及ぼすケースとして考えられるのは、あまりにも低い(高い)目標CPAを設定することで、インプレッションが大幅に減り(増え)、得られるデータの質が変化してしまう場合です。この場合、最適なパフォーマンスが発揮できない可能性があります。


自動入札戦略②:コンバージョン数の最大化(MAXCV)

<推測される単価計算式>      
入札単価 = 機械設定CPA×機械予測CVR

この入札戦略は運用者が設定する数値がないため、計算式も仮定による部分が大きいのですが、おそらくは①:目標コンバージョン単価の場合と大きく変わらないと考えられます。

式中の「機械設定CPA」も、正式な用語ではありません。①:目標コンバージョン単価において手動で決めていた「目標CPA」を、機械が日予算に合わせて都度調整しているものと仮定して、「機械設定CPA」と呼んでいます。
この戦略はほぼ機械任せであるため、機械学習のアルゴリズムを妨げる要素がありません。そのため、パフォーマンスが安定しやすい傾向にあります。


自動入札戦略③:目標広告費用対効果(tROAS)

<推測される単価計算式>   
入札単価 = 予測CV値/目標ROAS

「予測CV値」も正式な用語ではありません。そのオークションにおけるCV値(購入額、資料請求数等)の期待値のようなもので、さらに分解して、予測CV値=予測CVR×CV値と表すことができます。

CV値が1の場合は予測CV値=予測CVRになります。①:目標コンバージョン単価は、目標広告費用対効果(tROAS)おけるコンバージョン値が1の場合と 言い換えることができます。

CV値に関する計算が入るだけで、アルゴリズムとしては目標コンバージョン単価とさほど変わらないと考えられます。


自動入札戦略④:コンバージョン値の最大化(MAXROAS)

<推測される単価計算式>   
入札単価 = 予測CV値/目標ROAS

②:コンバージョン数の最大化と同様に、③:目標広告費用対効果で手動設定していた目標ROASを、機械側が日予算に合わせて調整するようなエンジンだと考えられます。

こちらもアルゴリズムとしては③:目標広告費用対効果とあまり変わらないのではないかと思います。


まとめ

主な自動入札戦略4つの計算式について考えてみました。え、「アルゴリズムはあまり変わらない」ばかりじゃないかって? そうなんです、実はどの設定でも、機械が算出しているものはさほど変わらないのです。

同じような数値を算出する(≒同様のアルゴリズムを用いている)と考えられることから、コンバージョン最適化のエンジン(①:目標コンバージョン単価②:コンバージョン数の最大化)からコンバージョン値最適化のエンジン(③:目標広告費用対効果④:コンバージョン値の最大化)に切り替えても、挙動は大きく変わらないことが多いと予想でき、運用している実感としてもそのように感じます。

そのため、どの戦略を用いるかによって機械のパフォーマンスが大幅に変わることはそうありません(運用成績が変わらないという意味ではありませんのであしからず)。自社が重視する指標を軸に戦略を決め、そのなかで設定をブラッシュアップしていく(あるいは機械学習を深化させていく)ことをおすすめします。


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