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コンバージョン“数”よりコンバージョン“値”に入札戦略を最適化すべき理由【デジマのあれこれ Vol.9】

こんにちは! 企業向けにデジタルマーケティングの支援を行う、株式会社プレシジョンマーケティングです。

専門用語が多く、新しい技術やツールが次々と登場するデジマの世界。【デジマのあれこれ】では、最新技術を分かりやすく紹介し、デジタルマーケティングの力を最大限活用していただくことを目指します。

Vol.9のテーマは「コンバージョン“値”の活用」

突然ですが、みなさんは広告を運用するとき、コンバージョン“数”コンバージョン“値”のどちらを入札戦略の基準にしていますか?

コンバージョン数とは、その名の通りコンバージョンの件数。1,000円の商品の購入も、5,000円の商品の購入も、同じく1件のコンバージョンとカウントします。入札戦略をコンバージョン数の最大化に設定した場合、購入額は問わず購入回数が最大化されるように広告最適化されます。

対して、コンバージョン値とはコンバージョンごとの価値。売上を価値指標にする場合、5,000円の購入は1,000円の購入の5倍の価値を持つと考えられます。入札戦略をコンバージョン値の最大化に設定した場合、この価値の差も加味した上で、トータルの価値(ここでは売上)が最大化されるように広告最適化されます。

売上が指標となるECサイトでは昔からコンバージョン値の活用が盛んでしたが、Googleは近年、それ以外の分野でもコンバージョン値を基準にした入札戦略の利用を推奨しています。 これにはどのような背景があるのでしょうか? 

コンバージョン“数”を基準にすることの問題点

以下の3つのケースは、本当はコンバージョン値に最適化した入札戦略を利用するのに適しているのに、コンバージョン数に最適化してしまっていることが多い状況例です。

  1. 複数の商材やサービスがあり、それぞれ売上期待値が異なる。
    商材やサービスごとにCPAを管理したいので、関連のあるキーワードによってキャンペーンや広告グループを分けて運用。

  2. 地域によってリード獲得後の売上期待値(成約率×売上単価)が異なる。
    地域ごとにCPAを管理したいので、キャンペーンを分けて運用。

  3. 資料請求と本申込など、売上期待値が異なる複数のコンバージョンポイントがある。
    どちらかのコンバージョンポイントにしぼって運用。または重みをつけずにそれぞれ1コンバージョンとして運用。

これらのアプローチではキャンペーンや広告グループが多くなることで運用の煩雑化や、コンバージョン数の分散が問題になります。特に近年は検索語句の多様化や部分一致の活用が進んでいるため、複数の広告グループで同じ検索語句に露出してしまったり、ニーズの顕在化していない検索語句をどの商材のグループに配分するか曖昧になってしまったりと、キーワード単位でリードの質を定義すること自体が難しい場合もあります。

売上期待値などセールス側の事情によって構成を分けざるを得ないという事情があるからこその運用だとは思いますが、キーワードや地域などは自動入札のシグナルとして加味されるため、可能な限りまとめて構成することが推奨されています。

コンバージョン“値”を活用すれば、キャンペーンを分けずにセールス実情に合った広告配信ができる

上記のようなケースではコンバージョン値を利用することでコンバージョン一つ一つに対して重みをつけることができ、セールス側の事情を広告配信に反映することができます。

コンバージョン数ベースの最適化ではコンバージョンのしやすさによってオークションごとの入札単価を決定していましたが、コンバージョン値を利用するとコンバージョンのしやすさに加えて売上期待値を加味して入札が最適化されていきます。

上述の1~3のケースについてコンバージョン値の活用例を考えてみましょう。

  1. 複数の商材やサービスがあり、それぞれ売上期待値が異なる
    商材やサービスごとに異なるコンバージョン値を設定(売上期待値の高い商材やサービスに大きなコンバージョン値を割り振る)し、コンバージョン値に最適化する入札エンジンに切り替える。

  2. 地域によってリード獲得後の売上期待値(成約率×売上単価)が異なる
    コンバージョン値のルールを利用し、同じコンバージョンアクションであっても地域によって異なるコンバージョン値(売上期待値の高い地域には大きな、低い地域には小さな今アクセス値を割り振る)になるよう設定し、コンバージョン値に最適化する入札エンジンに切り替える。

  3. 資料請求と本申込など、売上期待値が異なる複数のコンバージョンポイントがある
    コンバージョンポイントごとにコンバージョン値を設定(本申込など、売上期待値の高いコンバージョンに大きなコンバージョン値を割り振る)し、コンバージョン値に最適化する入札エンジンに切り替える。

このように、売上期待値に応じてコンバージョン値を設定しておけば、キャンペーン全体でコンバージョン値を最大化するように、つまり売上期待値を最大化するように広告最適化されるのです。

オフラインコンバージョンを活用すれば、精度がさらに向上する可能性も

各コンバージョンポイントや商材ごとの売上期待値が一定でない場合など、オンライン上の行動だけではリードの質が定義できないケースがあります。 そういったケースではオフラインコンバージョン(実店舗や電話での取引)の活用も1つの手です。

 オフラインコンバージョンを利用するにはCRMのデータと流入経路のデータ(クリックID)を紐付ける必要があります。開発が必要になるケースや個人情報保護法に引っかかる可能性があったりと導入ハードルが高いですが、顧客行動に関するより深いデータを用いるとでマーケティングの精度を高められるかもしれません。