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今のアナリティクス、あと1年で使えなくなります。新バージョン、GA4をざっくり解説・変更点編【デジマのあれこれ Vol.3】

こんにちは! 企業向けにデジタルマーケティングの支援を行う、株式会社プレシジョンマーケティングです。
専門用語が多く、新しい技術やツールが次々と登場するデジマの世界。【デジマのあれこれ】では、最新技術を分かりやすく紹介し、デジタルマーケティングの力を最大限活用していただくことを目指します。今回のテーマは、「GA4」です。
 

旧バージョン・ユニバーサル・アナリティクスは2023年7月に終了

Webに関わる方の多くなら必ずお世話になっているであろうツール、Googleアナリティクス(GA)。そのGAが、新しくなります。正確にいうと、新バージョンである「GA4」は2020年10月にリリースされているので、すでに新しくなっており、現在は旧バージョンであるユニバーサル・アナリティクス(UA)と併用できる移行期間という位置づけです。

UAとGA4は、確認できる項目が一部異なるのに加え、計測基準が変わることで各種数字にもズレが出るため、今のところは見慣れたUAのみしか使っていないという方も多いのではないでしょうか? しかし、そろそろGA4を使いはじめることをおすすめします。というのも、UAは2023年7月で使えなくなってしまうからです。

そこで、GA4への移行にお悩みの方に向けて、UAとGA4の差異や、導入のポイントを2週に渡って解説したいと思います。まず今週は【変更点編】として、GA4が生まれた背景や、UAとGA4の違いをご紹介します。来週は【導入法編】をお届け予定です。


誕生の経緯:「サイトがどう見られたか」から「ユーザーはどう見たか」へ

新しいバージョン、GA4の正式名称は「Googleアナリティクス4プロパティ」。誕生の背景には、世の中に起きた3つの変化があります。

1つ目は、サイト運営者とユーザーの接点(チャネル)がWebサイトだけでなく、アプリやSNS、動画など、多様になったこと。サイト内の行動を分析するだけでは、ユーザーとの距離を縮めにくくなりました。
そこでGA4では、アプリ用の分析ツールである「Googleアナリティクス For Firebase」の機能を取り込むなどして、Webサイト以外のチャネルでのユーザー行動も1箇所で管理できるようになりました。

2つ目は、プライバシーが今まで以上に重要視されるようになったこと。Cookie規制などが典型例ですが、ユーザーの行動を記録し、保持することは倫理的に問題ではないのかという議論がヨーロッパを中心に世界中で行われています。
そこでGA4には、データ保持期間に制限を設定したり、機械学習を活用した推測技術(ユーザー行動を実測しないので、プライバシー侵害に当たらない)を取り入れたりといった配慮がなされています。

3つ目は、サイトコンテンツの長大化による、ユーザー行動の多様化です。一昔前、データ通信速度が遅かった時代は、ページの表示速度を上げるため、1ページあたりのコンテンツボリュームを抑え、複数ページに分けてサイト設計するのが主流でした。通信速度の上昇にともない、むしろクリック遷移させるほうがユーザー負担であると考えられるようになり、現在は縦長ページで完結させるような見せ方が主流になっています。そこで起こったのが、PVや直帰率という指標ではユーザー行動を十分に把握できないという問題。ファーストビューだけ見て「なんか違う」と離脱したユーザーも、ページ最下部までじっくり読み込んだうえで「明日問い合わせてみよう」と離脱したユーザーも、どちらも1PVかつ直帰とみなされます。
そこでGA4では、スクロールや動画再生といったユーザーのアクションを計測する"イベント”を分析指標にしています。つまり「ユーザーがどう見たか」を分析するということで、PVやセッションなど「サイトがどう見られたか」を分析していたUAとは、視点そのものが大きく変わっているわけです。


計測できるもの:こんなことまで分かっちゃう、細かすぎるイベント設定

イベントを指標に分析するといっても、あまりイメージの湧かない方が多いかもしれません。設計思想を説明するよりも、具体的なイベントリストをお見せするほうが分かりやすいと思うので、測定できるイベントの一部を抜粋して紹介します。

イベントは大まかに

  • GA4のタグを設置するだけで収集が開始される「自動収集イベント」

  • 管理画面で有効にすると収集される「測定機能の強化イベント」

  • コードの実装の必要がなものの、名前などが事前に定義されている「推奨イベント」

  • サイト運営者側で自由に設定できる「カスタムイベント」

の4種類があります。


自動収集イベント、測定機能の強化イベントの例

Webだけでなく、アプリ内の行動も計測できるようになっているのが分かります。また、ダウンロードやスクロールなども、コードを書くことなく計測開始できます。

推奨イベントの

ECやゲームなど、主要なデジタルビジネス運営者に便利なイベントが用意されています。これらは、Googleの機械学習にも活かされていると思われ、後述の推定コンバージョンや予測指標の精度向上にも貢献します。

主な指標に関する変更点

セッションのカウントが変わったり(おそらく、ほとんどのサイトではセッションが減少します)、直帰率を計測しなかったりと、UAに慣れている方からすると「なんで?」と思う部分もありそうですが、ユーザーとのエンゲージメントを評価するためにはこの指標のほうが適しているという判断なのでしょう。

その他、追加機能

そのほか、様々な機能が追加されています。まだ活用事例が少なく、正確に評価できないため簡単なご紹介に留めます。

Googleシグナル
Googleアカウントのログイン状況を利用して、デバイス(ブラウザ)が異なる場合でも同一ユーザーとして計測できるようになる機能。アカウントにログインしていて、かつ広告のカスタマイズをオンにしているユーザーが対象です。Cookie規制に対する打ち手の1つではと考えられます。

推定コンバージョン
モデリングを使って直接計測できないオンラインコンバージョンを推定する機能です。「直接計測できない」とは、例えばスマホで広告を見て、PCから購入する場合などです。実際に計測されたコンバージョンに加えて推定コンバージョンが反映されます。これは、Google広告と同様の仕様ですね。推定コンバージョンと、実測コンバージョンを分割して確認することは現時点ではできません。そのため、UAよりもコンバージョン数が多く計上される可能性があります。

予測指標と予測オーディエンス
現状、EC用の機能です。集めたデータをもとに、購入の可能性、離脱の可能性、予測収益を機械学習によって予測してくれます。指標を確認するだけでなく、これらの指標を利用して予測オーディエンスを作成することもできます。予測オーディエンスはGoogle広告でも利用可能です。

Google BigQuery ※高度な内容ですので、ほとんどの方には無関係かと思います
Google Cloud Platformから提供されているビッグデータ解析サービスであるGoogle BigQueryが、無料版のGAでも利用可能になりました。大量のデータを処理できるので、BIツールなどを用いた高度な分析などを行う場合などに利用することが想定されます。

データの保持期間 ※機能ではありませんが、重要な変更点であるためご紹介
一部レポートで、設定した保持期間を超えたデータは確認できなくなります。保持期間は2ヶ月か14ヶ月のどちらかを選べます。短いため不安に感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで一部のレポートに活用する場合のみで、一般的なレポートは長期に渡って閲覧可能です。一部のレポートとは、流入元や流入後の行動を詳細に絞り込んだカスタムレポートを指します。該当ユーザーが絞られるため、プライバシー保護のために保持期間を短くしているものと思われます。

以上、GA4誕生の背景や、イベント指標、目立った追加機能について記載しました。次回はいよいよ、GA4を導入する方法をご紹介します。ぜひお楽しみに!