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【広告クリエイティブの細かいところ。認知科学を使ったCVR・CPA改善】〜その6〜【前編】メタモデルとミルトンモデル

効果的な広告の訴求を実現するには、ターゲットの心理や認知の過程を深く理解することが非常に重要です。これまでにいくつかの認知科学モデルを取り上げてきましたが、今回はコミュニケーションの文脈(双方向の情報やり取り)での認知プロセスを探り、特に「メタモデル」と「ミルトンモデル」という二つの重要なモデルに焦点を当て、2回の投稿に分けて詳細に説明します。


双方それぞれの認知プロセスは「T.O.T.Eモデル」

シリーズの1回目投稿でお伝えしましたが、双方向のコミュニケーションにおいても認知科学の基本であるT.O.T.Eモデル(トートモデル)が前提となります。

このT.O.T.Eモデルにおいて、OPERATE(思い出す・想像する)とEXIT(感情を表す、態度を変える、記憶する)部分の【言語パターン】をモデル化したものがメタモデルです。

メタモデルとは?


メタモデルは、神経言語プログラミング(NLP)において開発された、言語を通じて人の思考、感情、行動パターンを理解し変容させるためのツールです。このモデルは、特にコミュニケーションやカウンセリングの場において活用され、相手の言葉遣いからその人の世界観や思考過程を解明し、明確な理解と効果的なコミュニケーションを促すことを目的としています。

またこのメタモデルをT.O.T.Eモデルと対比させると以下のようなイメージです。

人間は思考過程で、学習した知識や過去の経験、さらには風土や文化を通じて獲得した非言語情報にアクセスします。そして、この情報を基にして言語に「変換」して伝えることがあります。この「変換」過程を体系的に理解しようと試みたのがメタモデルです。

メタモデルの特性

NLPのメタモデルは、相手の発言を既に「変換」されたものとみなし、この変換プロセスを「削除」、「歪曲」、「一般化」のパターンでモデル化しています。
特にカウンセリングの文脈では、これらの情報変換パターンを明確化するために具体的な質問を用いることがあります。
このアプローチにより、誤解を解消し、相手の真の意図や感情、信条を深く理解することがNLPにおけるメタモデル利用の目的です。

削除

削除は、情報を伝える際に特定の詳細やコンテキストが省略されることです。これにより、リスナーは提供された情報のみに基づいて全体像を理解しようとしますが、【A:重要な背景が欠けているために誤解が生じる可能性】があります。

歪曲

歪曲は、実際の事実や体験が話し手の主観的解釈によって変更されることです。これは、リスナーに対して【B:現実を不正確に表現することで、誤解や不正確な認識を引き起こす可能性】があります。

一般化

一般化は、【C:個別の経験や事例から広範なルールや結論を導き出すプロセス】です。これは時に有用ですが、過度の一般化は誤った仮定や偏見につながる可能性があり、限定的な情報に基づいて全体を判断することになります。

メタモデルを広告訴求に活用

前セクションでお伝えしたメタモデルおよび【A】【B】【C】の特性(認知パターン)は、使い方次第でユーザーの思考をコントロールできます。
以下は双方向(広告主とターゲットユーザー)をメタモデルで図解したものです。

広告制作において、広告主はターゲットユーザーの非言語情報(例えば顧客心理やペルソナ)を踏まえ、メタモデルの考え方を応用して広告のコピーとデザインを作成します。
受け手であるターゲットユーザーは、この広告を見た際、自らの知識や経験に基づいて情報を処理(思い出したり、想像したりする)します。
またコピーは必然的に情報の「変換」を伴い、すべてを伝えることはできません。
そのギャップを埋めるために、デザインが重要な役割を果たします。
これにより、メタモデルにおける「削除」、「歪曲」、「一般化」をある程度抑制し、広告の意図をターゲットユーザーにより直接的に伝えることが可能になります。

まとめ(本日はここまで)

本記事では、認知科学の基礎としてのT.O.T.Eモデル(トートモデル)を中心に、言語パターンの理解に役立つメタモデルとその広告への応用方法について掘り下げました。
ターゲットユーザーがメタモデル的思考を用いて自身の情報や経験を活用するプロセスは、俗に「心を動かす」と称される説得技術の一形態と見なすことができます。
さらに、ターゲットユーザーの内部にある動機付けに関連する情報リソースは、動機付け設計モデルを通じて深く探ることが可能であり、テキスト情報についてはVAKモデルを適用することで、より洗練されたコピー作成につながるでしょう。

次回は、今回紹介した内容を基に、「意図的に心を動かす方法」と「ターゲットユーザーの衝動を刺激する」技術に焦点を当て、メタモデルの「逆」とも言えるミルトンモデルについて詳しく解説します。

最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

また当社では、今回ご説明した認知科学モデルを使いクリエイティブを改善するサービス「アジャイルLPO」を提供しておりますので、ご興味ある方は以下をご確認ください。


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